当サイトをご覧いただきありがとうございます。パパママキャリア編集長のかっきーです。ITとビジネスの両分野に関する専門性を深めるために資格試験に挑戦しています。
今回は、 ディープラーニングやAIについて知見を深めたい方におすすめしたい資格 の、E資格の難易度や勉強方法についてご紹介いたします。
記載の内容は、本記事を執筆している2022年5月時点の情報です。最新の情報は必ず公式サイトでご確認ください。
目次
E資格の概要
E資格は、JDLA(一般社団法人 日本デイープラーニング協会)が提供している、ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているかを認定する試験です。
名称 | E資格 |
試験分類 | 民間資格 |
認定団体 | JDLA(一般社団法人 日本デイープラーニング協会) |
受験資格 | JDLA認定プログラムを試験日の過去2年以内に修了していること |
出題形式 | CBT |
試験日程 | 例年、年に2回(2月と8月) |
学習期間の目安 | 6ヶ月〜 |
受験料 | 一般:33,000円(税込) 学生:22,000円(税込) 会員:27,500円(税込) |
参考URL | https://www.jdla.org/certificate/engineer/ |
JDLAについて
実施団体のJDLA(Japan Deep Learning Association、一般社団法人 日本ディープラーニング協会)は、ディープラーニングを事業の核とする企業が中心となり、ディープラーニング技術を日本の産業競争力につなげていこうという意図のもとに設立された団体です。
人工知能の研究者として有名な東京大学大学院工学系研究科の松尾 豊教授が理事長を務めていらっしゃいます。
ディープラーニングに関する資格試験のG検定、E資格を実施しています。
➡️協会について
習得できるスキル
E資格の認定内容としては、「ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識を有しているかを認定する」とされています。
また、試験の受験にあたっては、後ほど紹介する「JDLA認定プログラム」を修了することを受験資格として設定されています。
そのため、単純に試験に合格するだけでなく、機械学習やディープラーニングに関する体系だった知識の習得が要求されることになります。
試験形式
E資格の試験形式は、定められた日程でいくつか設定されたテストセンターへ行き、CBTで受験となります。
100問程度の選択問題が出題されますが、配点や合格基準は非公開となっているため、どれだけ正解できれば合格となるかは不明です。
ただし、直近の回(2022#1)の受験者の平均得点が開示されています。
科目 | 平均得点 |
応用数学 | 63.41% |
機械学習 | 67.59% |
深層学習 | 63.97% |
開発環境 | 66.68% |
また、合格率の推移は以下のようになっています。
開催回 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2018 | 337 | 234 | 69.44% |
2019 #1 | 387 | 245 | 63.31% |
2019 #2 | 696 | 472 | 67.82% |
2020 #1 | 1,042 | 709 | 68.04% |
2021 #1 | 1,688 | 1,324 | 78.44% |
2021 #2 | 1,170 | 872 | 74.53% |
2022 #1 | 1,327 | 982 | 74.00% |
累計 | 6,647 | 4,838 | – |

合格率が7割程度で推移していることから、少なくとも受験者の平均得点を取れていれば合格となると考えて差し支えないかと思われます。
従って、各科目60%〜65%程度の得点ができていれば合格とされると考えられます。
➡️「E資格(エンジニア資格)2022#1」結果発表。(1,327名が受験し、982名が合格)
https://www.jdla.org/news/20220310001/
JDLA認定プログラムとは
E資格の受験にあたっては、JDLA認定プログラム修了が必要とされています。
JDLAが定めた基準やシラバスを満たす教育機関や事業者が提供する教育プログラムで、試験もこのプログラムで学んだ内容をベースに出題されます。
2022年5月現在、認定プログラムは17つリストアップされています。
それぞれのプログラムは講義の形式や受講期間、受講料などで特色があり、それらの中から各自で受講するプログラムを選択する必要があります。
➡️JDLA認定プログラム
https://www.jdla.org/certificate/engineer/#certificate_No04
E資格のメリット・コスパ
前述の通り、E資格の受験にあたってはJDLA認定プログラムを修了する必要があり、プログラムの受講料を用意しなければなりません。
プログラムの受講料はかなり幅がありますが、安いものでも10万円程度は見込んでおく必要があります。
そのため、E資格の受験にあたっては、その受講料に見合うようなメリットが得られるのか、すなわちコスパが気になるかと思われます。
E資格のコスパを測るための参考情報として、受験するメリットをいくつか紹介したいと思います。
体系的な知識が身に付く
なにより重要なのは、AI・ディープラーニングの体系的な知識を身につけることができる点です。
シラバスをご覧いただければお分かりになるかと思いますが、
- 応用数学
- 機械学習
- 深層学習
- 開発・運用環境
の4分野にわたり幅広く網羅されていて、理論的なところから実践的なところまでを学ぶことができます。
確率・統計や情報理論などの数学的な理論をベースに、機械学習や深層学習(ディープラーニング)の仕組みとプログラミングレベルでの実践を徹底的に演習することにより、単純なコピペではなくきちんと仕組みを理解した実装ができるようになります。
➡️E資格の試験範囲(シラバス)
https://www.jdla.org/certificate/engineer/#engineer_No03
就職・転職でのアピール
E資格に合格することにより、AI・機械学習・ディープラーニングの知識・スキルを持つ人材であることをアピールすることができ、就職や転職の場でプラスになると考えられます。
実際に、E資格の合格を採用時の歓迎条件として設定されている企業も見受けられます。
オープンバッジでスキルを証明できる
国際技術標準規格「IMS Global Learning Consortium」に準拠したデジタル証明・認証であるオープンバッジに対応しているため、取得した資格や習得した内容をオンライン上で公開・送信したり、SNSやメール等で共有したりすることができます。
➡️デジタルの日に合わせ「G検定」「E資格」が、『オープンバッジ』を発行開始
https://www.jdla.org/news/20211011001/
E資格の難易度
E資格の認定内容やシラバスから、かなり難易度の高い試験であると考えられます。
認定講座の内容をしっかりと理解することができれば合格できるようにはなっていますが、その認定講座の内容そのものが、初学者にとっては非常にハードルが高いと感じています。
実務でAI・ディープラーニングに触れた経験がある方や、他の関連資格で数学やITに関する基本的な知見を身につけている方、あるいはこの分野に対する高い情熱をお持ちの方でなければ挫折してしまうと思われます。
特に、ベースとなっている数学の分野に苦手な意識がある方は、相当の覚悟を持って臨む必要があると考えております。
具体的には、
- 微分積分
- ベクトル、行列
- 確率、統計
あたりの分野においては大学学部生レベルの知見が求められるため、自信がない方はしっかりと学習しておく必要があります。
認定プログラムに、数学の基礎講座が設けられている場合もありますので、数学に自信がない方はそのようなプログラムを選ぶのが良いでしょう。
また、試験ではPythonのフレームワークであるPyTorchまたはTensorFlowを利用した実装に関する出題もされます。
従って、Pythonあるいは同様のプログラミング言語に関する経験があることが望ましいでしょう。
こちらについても、プログラミングの基礎講座が設けられていることがあるため、自信がない方はそのようなプログラムを選択しましょう。
私の合格時点の状況
私がE資格に合格した時点では、
- G検定合格済み
- 統計検定2級合格済み
- 応用情報技術処理者合格済み
- Python3エンジニア認定基礎試験合格済み
- 社内におけるチャットボットの導入検討や実施経験
のような状態でした。
➡️【失敗事例共有】社内向けチャットボットが利用者数が少なすぎて廃止になった
認定プログラム申し込みからおよそ半年後の試験で合格できました。
E資格の勉強方法
私がE資格に一回で合格した勉強方法についてご紹介いたします。
AIジョブカレを利用
私が選んだ認定プログラムはAIジョブカレです。
選んだ理由は
- 価格が安い
- オンラインで完結
- 余計なサービスがなくシンプル
の3点です。
価格については、各認定プログラムの提供価格を見比べた結果、ジョブカレがトップクラスに安いと結論できました。
また、紙の教材が送られてきたり、教室へ行ったりすることはなく、オンラインで全てが完結できることも魅力的でした。
ある程度は自立して学習ができる自信がありましたので、質問機能のような不要なサービスがなかったこともポイントです。
参考書籍
AIジョブカレの講座以外に、私が参考にした書籍もいくつか紹介いたします。
一つ目は、Goodfellow先生の「深層学習」(日本語版)です。
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ディープラーニングの教科書として世界的に有名とされていて、ディープラーニングについて極めて詳細に記されています。
1000ページ以上もある非常に分厚いテキストですので、全てを精読することは難しいため、詳細を知りたい用語について辞書的に活用するのが良いと思います。
用語だけでなく、ベースとなっている数学的な理論や考え方についても知ることができますので、理屈をしっかりと理解したい方は必ず買っておくべきでしょう。
二つ目は、「ゼロから作るDeep Learning」シリーズです。
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ディープラーニングの入門書として有名ですが、やはり非常にわかりやすいです。
ライブラリを使わず、タイトル通りゼロからディープラーニングを実装していくための力を身につけることができます。
三つ目は、「現場で使える!Python深層強化学習入門 強化学習と深層学習による探索と制御」です。
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現場で使える!Python深層強化学習入門 強化学習と深層学習による探索と制御 新品価格 |

強化学習の分野について、認定講座だけでは不足を感じたのと、興味を持って深掘りしてみたくなったため、こちらの書籍も活用しました。
強化学習の分類やアルゴリズムについて詳細を学んでみたい方におすすめです。
最後に紹介するのは、「やさしく学ぶ 機械学習を理解するための数学のきほん アヤノ&ミオと一緒に学ぶ 機械学習の理論と数学、実装まで」です。
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前述の通り、E資格の学習においては基本的な数学の知識が必要となりますが、私自身もそこまで自信のある分野ではありませんでしたので、こちらの書籍に頼りました。
会話形式で機械学習に関する数学を学ぶことができ、わかりやすかったです。
まとめ
以上が、ディープラーニングに関する資格のE資格についてのご紹介でした。
これからますます必要性が高まるとされているAI・ディープラーニングの分野において体系的な知識を習得しておくことは、今後のキャリアアップに向けて重要なことであると言えます。
また、現在は他分野の仕事をしているものの「データサイエンティスト」「AI人材」と呼ばれるような仕事に関心のある方であれば、まずはE資格を通じて、自身の適性を測ってみるのも有意義かと思います。
この資格試験の学習の内容を面白く感じるのであれば、この分野に進んでも活躍が見込めるのではないでしょうか。



